※虚月館個人的考察
犯人はハリエット(エウリュアレ)
◆ハリエットとエヴァ
まず大前提として、ジュリエットの母親がハリエット(エウリュアレ)、妹がエヴァ(頼光)である。
根拠はざっと書き出すと以下の通り。
・ジュリエットは二人を「母と妹よ。見ればわかる」と紹介しておりどちらがどちらとは明言していない
・同様に他者も彼女らを母、妹と確定した呼び方はしていない
・モーリスはエヴァが発言してアダムスカが咎めた後に「家の女子供に好き勝手言わせてるなんて」と発言。ハリエットは発言していないため、女子供=エヴァである
・ホーソーンやジュリエット、モーリスの好み等の発言から、姉妹は似ていない
・主人公がエヴァに母親のアリバイを訪ねた際のエヴァの返答「妙なことを聞きますね。母は早くに就寝した」
・自分は母ではないので「妙なこと」。今までエヴァの一人称として”母”は登場していないため、これは一人称ではなく二人称
冒頭のホームズの発言から、これは錯誤の物語であると語られている。主人公のサーヴァントフィルターをそのままに信じてはいけないという意味ではないか。
よって、ジュリエットの母親はハリエット(エウリュアレ)、妹はエヴァ(頼光)とする。
◆クリス殺しのアリバイ
まずクリスと犯人が会った時間が11時25分。
アーロン、アダムスカ、アンは10時から3時まで相互にアリバイを証明可能
ウーは上記の勝負を0時まで見ていたため、10時から0時までアリバイ成立
ウーが嘘をついていない限り、主人公のアリバイも成立
ジュリエットとエヴァは部屋に二人でいたため、一応のアリバイは成立
ただし、身内の証言である
ローリーはドロシーの証言により、10時には部屋のベッドにいたがその後抜け出しケインとかくれんぼをして遊ぶ
11時20分にケインと共に”大人”に見つかった
空き部屋と犯行現場の行き来が5分以上かかる場合はアリバイ成立
ケインはベッドを抜け出したローリーとかくれんぼをして遊ぶ
11時20分にローリーと共に”大人”に見つかった
空き部屋と犯行現場の行き来が5分以上かかる場合はアリバイ成立
モーリスは死亡しており、シェリンガムが生存していたため偽装死体を用意することは難しい
よってモーリスは死亡しているためアリバイ成立
ドロシーは自身の証言で10時にローリーと共にベッドに入りそのまま就寝
アリバイは不成立
ハリエットはエヴァの証言で10時か11時に就寝。曖昧な証言である
アリバイは不成立
この時点でアリバイが成立していないのは、ドロシー、ハリエット
ただし、この中に一人、ローリーとケインを発見しそれを証明できる “大人”がいる
◆ローリーとケインを発見した”大人”
11時20分に空き部屋でローリーとケインを発見した”大人”は誰か。ケインはそれをアリバイを証明してくれる人と証言している
その4にて、ローリーとケインがかくれんぼをしているのをドロシーが発見し、会話をしている
おそらく上述の11時20分の出来事だろう
よって、”大人”はドロシーであり、ドロシーのアリバイが成立
ただし、なぜドロシーが「ずっと寝ていた」と嘘をついたのか疑問は残る
◆クリス殺しの犯人
アリバイを確認すると、犯行可能な人物はハリエットのみ
ダイイングメッセージは文字通りヴァイオレット家の母親である彼女を示している
◆ホワイダニット
なぜモーリスとクリスを殺したか
恐らく、ジュリエットはハリエットとアーロンの子供で近親婚となってしまうから
そもそも今回の縁談を破談にしたところでゴールディ家もヴァイオレット家も破滅の道を辿ることになり本来は破談にして得をする人間はいない
ドロシーが犯人だった場合、実の娘のローリーが当主になるため動機となりえるが、夫となるケインが当主となる可能性が高い
かつてアーロンは本人が発言していたように女遊びがひどく、気に入った女性と関係を持っていた
酔ったアーロンがジュリエットに「どこかで会ったことがあるか。一夜を共にした誰かと間違えた」との発言
ハリエットは若い頃奔放であった
以上から、ジュリエットは若い頃にアーロンと交わりその際にジュリエットを妊娠し、アダムスカの子と偽っていると推測できる
その場合、アーロンと前妻の子モーリスと、アーロンとアンの子クリスはジュリエットの異母兄弟となってしまう
近親婚が禁忌であるのはもちろん、婚姻成立後にバレてしまえば外部と内部両方から批判を受け現状よりも事態が悪くなる
しかしゴールディ家とヴァイオレット家は無理にでも婚姻をするほど追い詰められていて、アダムスカに反対しても強引に事がすすんでしまった
よって近親婚を阻止するため、実の子ジュリエットを守るために脅迫状を送り犯行に及んだのではないか
◆モーリス殺しについて
作中で言われていたように、恐らく主人公、ジュリエット、ホーソーン、クリスと会話後に崖から犯人に突き落とされ死亡、海岸に遺体が漂着したものと思われる
モーリスと会話後、主人公、ジュリエット、ホーソーン、クリスはモーリス失踪まで一緒にいたためアリバイが成立
アリバイが成立しているジュリエットが白とすれば、その証言も信用できるためクリス殺しのジュリエットとエヴァのアリバイが信頼できるものとなる
◆シェリンガム狂言殺人について
これはホームズが勝手にやったことであり、犯人にとっては想定外の事件。犯人の本命はモーリスである
シェリンガムが死んだ時点でドロシーは「中止して帰るべき」と発言している
本命の殺人を行なっていないのに帰るべきだと騒ぐのは不自然である
マーブル商会がそれを許さないと分かった上での発言の可能性もある
◆犯人はハリエット
ぐだぐだと記述したけれど、以上のことから今回の犯人はヴァイオレット家の母親、ハリエット(エウリュアレ)と私は判断する
なにか見落としがある気もするけど、とりあえずこれが精一杯
真実が気になる