「誰がメアリー・セレスト号に乗っていたのか」
ここでは、本を作るようになった経緯とあとがきを綴っていこうと思います。
本の内容のネタバレあります。
◆誰がメアリー・セレスト号に乗っていたのか
Q.どうしてこの本を作ったんですか?
A.燃やしたかったからです
というわけで。
燃やしました、コピ本。ファイヤー。
めっちゃ楽しかった。
きっかけはタイトルにもなっているメアリー・セレスト号の逸話を思い出したことです。これ使って存在消す話をやりたいなと思いまして。
メアリー・セレスト号については調べたら出てきますのでここでは割愛。がっつり調べてみるとたのしいですよ〜
存在や記憶が消える時に本ごと燃やす、というイメージができたので、「よっしゃコピ本にして記憶が消えるページをリアルファイヤーしたろ!」がこの本を作った一番の動機です。
さすがにオフ本では出来ない所業なのでコピ本ならでは。
燃やすのとても楽しかったです。良い子だから風呂場でやりました。
最初に考えてた時点では、実は消えるのはエィスの予定でした。ジョージ視点で、エィスの姿を見なくなり、会うことがなくなり、最終的に自分の喉からエィスの歌声が出て世界からエィスの存在が消える。そんなおはなしでした。
その話を考えながら他の短編を書いてたのですが、そういえばこの二人、一人称がおなじだなと。※弊作品では二人とも「俺」です
しかも特徴的な台詞を伏せればわりと口調も似てるな、と。
と、いうわけで。
入れ替えトリック的なことを思い付きました。一人称視点ならではなことができて個人的には大満足してます。
わかりにくいところもあったと思うので、ここで流れを一通り。
【序盤から新GSに会うまで】
一人称者はジョージでありエィス。
存在も世界線もまだあやふやな状態。
【新GSと一人称者が会う】
一人称者はエィス(己をジョージと認知)
ここがスイッチの切り替えで、『ジョージが存在しなかった世界線』に完全に変わってる。
一人称者(エィス)の認知だけ歪んだまま自分をジョージだと思い込み、自分の姿がジョージに見えている。
この世界線では、最初からエィスが歌ってデビューしているのでGS自体が存在しない。
一人称者が歌わないのを、総帥はエィスが歌いたくない音源を流してくれと進言してきたからだと認識している。
【ショーをやれと言われるまで】
一人称者はエィス(己をジョージと認知)
この間やったお仕事は実際はすべてエィスの仕事だが、一人称者にはジョージに見えている。決めポーズ等も現実はエィスのもの。
ココロが親しく接するのも相手がエィスだから。
上記の通り一人称者が最近歌わない理由は、エィスが総帥に進言した我儘となっている=総帥は一人称者が歌えることを認識している
→「いい加減に自分で歌え」
【エィスと呼ばれるまで】
一人称者はエィス(記憶は本編のまま)
ボイトレしても歌っても自分の歌声がわからないのは認知の阻害。実際にはエィスの上手な歌声が出ている。
なので、ステージも大成功。観客の光も水色だけど一人称者には何色にも見えていない。
『高田馬場ジョージの歌声が観客に認められた』事実に違和感を覚えた中、メンバーに『エィス』と呼ばれて認知が完全に正常になる。
一人称者の記憶だけ本編のエィスのままなので、記憶と現実の乖離に困惑。
【総帥がジョージを知らないと言うまで】
一人称者はエィス(記憶は本編のまま)
ジョージはどこだと聞いて回るが、そもそもこの世界線にジョージは存在していないので周囲が混乱。
本編世界でジョージが成した偉業は、この世界ではすべてエィスがやったことになっている。
なんだかんだ総帥が甘いのも、エィス。
『高田馬場ジョージ』を生み出した総帥が『高田馬場ジョージ』を知らないと言うことが決定打。
【記憶が燃えるまで】
一人称者はエィス(ジョージの記憶焼失)
ジョージが存在しないことをほぼ認めつつも、最後の希望に縋るため、自分が最後に見たジョージを確認。
もちろん全部エィス。
そしてエィスがショーをする姿を見て、『この世界に高田馬場ジョージがいない』ことを受け入れる。
名前すら口から出せなくなる。抵抗するが、ジョージに関するすべてが焼失。
【ラスト】
一人称者はエィス(ジョージがいない世界線の)
記憶も認知もすべて別世界線のエィス。最初からリーダーとしてデビューし、大会でも優勝し、大人気プリズムスタァの『池袋エィス』
CDは唯一の物証だが、それをエィス自ら棄ててしまう。
【世界線】
SSS本編
→ご存知本編
この本の世界線
→本川則之が存在せず、高田馬場ジョージが生まれなかった世界。エィスは予定通りデビューし、大人気プリズムスタァになる。
【登場人物】
高田馬場ジョージ
→今回はエィスの記憶の中のみ
池袋エィス
→本編エィスの記憶と混ざってしまったため、自分をジョージだと思い込むように。
新GS
→存在しない亡霊のようなもの。歌声は高田馬場ジョージのもの。顔合わせで登場して以降、世界からも姿を消す。
ふわふわしてる部分はあえてふわふわしてるままで。一応こんな感じの設定で書きました、という記録的なものでした。
一応バッドエンド扱いでしたが、読んだ友人には「世にも奇妙な物語」と言われました。確かに。
というわけで完全に私だけが楽しい作品でした。認知の弊害と存在の喪失。いいよね。
燃やす次に楽しかったのが燃えるページの文を書いてる時でした。泣きながらがむしゃらに消えていく大切な存在に縋る姿っていいよね。
閲覧は自己責任って書いたからな。苦情は受け付けませんよ。
『高田馬場ジョージ』という存在って、ジョージとエィスが二人いて成り立つじゃないですか。
その片割れが存在しなければどうなる?というのが裏テーマでした。
今回は、ジョージが存在しなければ『高田馬場ジョージ』は消えてしまうけれど、『池袋エィス』は『池袋エィス』のままである。
そんなおはなしでした。
いつかエィスが存在しない話も書きたいけど、同じ手法は使えないなーと思ってるところです。
あとがきは、ここまで。
これ以降は完全に蛇足というか、己の備忘録になります。本を出すにあたってこんなことがありました、という記録をつらつらと綴っていきますのでもし興味があれば。
さて。
燃やしたい!!!という一心で作った本でしたが、燃やせて満足です。存在が燃えて灰になって飛んでいくのいいよね。
全体が叙述トリックで出来ていたので、書くのはめちゃくちゃ楽しくて深夜1時から5時の4時間で書き上げました。多分正気ではなかったです。狂気のSaturday Night。
最初はコピ本も文庫サイズにしたい!!!と思い、色々調べてました。コンビニではA5印刷できないし……どうしよう……と右往左往してる中みつけたのが今回印刷させていただいた秋葉原制作所様です。
A5印刷できる上にクラフト紙販売もやってる!クラフト紙やりたい!航海日誌みたいにしたい!
ということでお世話になることを決めました。
が、しかし。
実際に出来上がった文章を文庫サイズのレイアウトに入れたところ、30ページ以上になってしまいました。
コピ本で30ページはないでしょ。
というわけで、A5サイズに変更しました。
これはこれでいい感じの味が出たので気に入ってます。
しかもA5サイズのコピ本だと秋葉原制作所様は自動で折って自動でホッチキスまでしてくれる。神です。これが神だ。
ガチでみなさまにおすすめです。
そして今回最大の見せ場のファイヤー。上記にもありましたが、風呂場でやりました。めっちゃ焦げ臭くなったのでめっちゃ換気した。
当時は左半分すべて燃やす予定だったのですが、コンビニ印刷の方で試したところ、ページめくる時に押さえられなくて一緒にめくれてしまう!と気付き左下のみ燃やすことにしました。
出来るだけ煤も払ったのですが、もし汚れてしまった等あればそれは本当に申し訳ないです。謝罪します。
さて。
ファイヤーして本が出来たところで例のものを作るかとパソコンを立ち上げました。
そう、ポスターです。
しかしデカいポスターは作っていたので、こっちは小さくするつもりでした。なので2Lサイズの写真印刷にし、写真用の額に入れました。
もちろんwordで作ってます。正気ではない。
印刷したら思ってたよりも解像度が足りず、色も思ってたように出なかったので反省点。
内容が内容だけに、当日お手にとってくださった方に本当にこれでいいんですか?????とめちゃくちゃ確認したかったです。
いつもサイトで作品上げる時は好き勝手やってますが、お金を出してもらって頒布するとなると身構えてしまいますね。
ただ、この本に関してはwebで発表してもやりたいこと(燃やすこと)が出来なかったので、やるなら今しかないと突っ走りました。
私の趣味に付き合っていただき本当に感謝です。多分次はない。
そんなこんなと、やりたいことやりきったコピー本でしたがいかがでしたでしょうか。
正直不安でいっぱいなので、もし大丈夫だった方は「大丈夫だったよ」だけでも教えてくださるとめちゃくちゃ安心します。
とりあえず書いて作った身としては死ぬほど楽しかったです!!!!!!!!!!!
あと気軽に感想いただけるとうれしーです!!!!!!!!!